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コーチに必要な10のスキル(技術)

コーチに必要な10のスキル(技術) メンタルコーチ 名古屋 梅田智也

世の中には、様々なコーチがいます。
スポーツコーチ、ビジネスコーチ(経営者コーチ)、コミュニケーションコーチ、目標達成をサポートするコーチ、子育てのコーチ、恋愛のコーチ・・・

どんな種類のコーチであれ、対面支援で、目の前の方を目指すゴールへ導くため役割を果たすコーチには、次の10のスキル(技術)が必要となります。



1. 共感するスキル


コーチングの最も基本的なスキルは、まずクライアントに共感することです。
それが、他のすべてのスキルの基本です。

コーチングの教科書『コーチングのすべて - その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで』の著者 ジョセフ・オコナー&アンドレア・ラゲスは、

『コーチングのスキルは,注意を向けることに尽きる。』

と言っており、
相手に注意を向け、相手のことを知り、共感することの重要性を伝えています。


では、共感力(共感するスキル)とは何でしょうか?

共感力に関しては、よく
「こちら側が相手の気持ちを理解し、共感すること」のように言われますが、私は少し違うように思います。

「相手から『この人は信頼できる』『この人だったらわかってくれる』と感じてもらうことです」が、こちら側の共感力です。

まず、相手の発言、存在を受けとめる、受け入れることが大切です。

相手が、偽らざる気持ちを話すようになれば、
こちら側は共感できており、本質的なコミュニケーションができるようになります。


2. 聞くスキル


人は,話を聞いてもらうだけで,とても安心します。

東日本大震災で、被災された方々は、「寄り添って話を聞いてもらうだけで、とても楽になった」と言っている方々が多くいると伺いました。

話しを聞くことだけで、あなたがそこにいることを認める、というアクノリッジメント(承認)になります。

ただ話をじっくり聞かれることで、「あなたは話していていんだ」「ここにいていいんだ」という承認を与えることができます。

安心感がある会話では、話し手は、自分の考えに集中することができ,いろいろな気づきが生まれ、その場のコミュニケーションは、より発展していくことになります。

ゆえに、聞く姿勢としては、

  1. いつでも耳を傾ける
  2. 相手のコミュニケーションに注意を向ける
  3. 相手が見ているように、同じように見る
  4. 評価しないで聞く
  5. 相手の考え(感情)が表現されるまで待つ
  6. 的を射た問いや質問を織り交ぜる

というのが、よいでしょう。


3. 俯瞰のスキル


俯瞰のスキル コーチに必要な10のスキル(技術) メンタルコーチ 名古屋 梅田智也

自分自身を上空,ビルの上,ヘリコプターの上,雲の上,虹の上等々から,自分やクライアントを見ることが大切です。

「高い所から見たら,何が見えますか」「本当に話したい内容は、このことですか?」と言った全体を俯瞰してみるための質問をすると効果的です。

コーチの役割は、クライアントの問題解決であり、
「問題は、その所在がわかれば、8割解決したようなもの」という言葉があるように、全体を見る俯瞰した視点を持ち、全体最適化できるアプローチができれば、問題解決能力も高まります。


4. 比喩のスキル


喩えの力は、強力です。
比喩を使うことで、クライアントの理解を促すことができたり、伝えたいイメージをよりリアルに伝えることができます。

状態を説明したり,気づかせたりするとき、
直接「迷う」というより、「霧の中」の方が,心や感情にビジュアルにあるいはイメージ豊かに受け止めてもらいやすいものです。

よりリアルなイメージをもってもらえるように、意図的に喩えの表現を使うと良いでしょう!


5. 認知のスキル


認知のスキル コーチに必要な10のスキル(技術) メンタルコーチ 名古屋 梅田智也

クライアントの可能性や変化、クライアント自身の自己認知以上に認め出すことできるようにしましょう!

クライアントの中にある成長しつつある部分、変化しつつある部分に、しっかりと光を当て、相手以上に相手の成功を信れるようにしましょう!

自分以上に自分の成功を信じてくれているコーチの存在は、クライアントにとって大きな勇気となります。


6. 質問のスキル


質問は,暗い場所を照らすサーチライトのようなものです。
適切な質問は、新しい領域を照らし出します。

コーチがクライアントに、な質問をするとき、コーチは、クライアントに自分の体験やリソースを別の方法でふるいにかけ、それまで思いつかなかった答えを見つける機会を与えるのです。

クライアントは通常、いつもの慣れ親しんだ思考パターンで、答えを見つけようとしますが、今までの思考パターンでは、今までと同じ結果しか出ないものです。

そこに、新しい視点や刺激を与えるものこと、適切な質問(問い)になります。


7. フィードバックスキル


フィードバックという言葉は、元々、軍事用語として使われており、「砲弾の着眼点が目標からどのくらいずれているかを射手に伝える」という意味です。

コーチングにおいては、コーチがクライアントに、その人がどんな影響をあたえているのか、また、相手にどう思われているのか、ありのままを伝えることです。


私たちが,自分の感覚だけで把握できることには限界があります。
外からの視点が大切です。

  • 目標達成にむけて最適な方法を選択しているのか?
  • 目標まであとどのくらいなのか?
  • どのくらいずれているのか?

客観的な視点を加えることで、ゴールへの軌道を修正していくことができます。
ですから、コーチは、率直な感じたことを伝えるフィードバック力が必要になります。

ここでは、厳しい意見も、相手のために、ちゃんと伝えないといけません。

フィードバックは、忠告や批判、評価とは違います。

相手から伝わってくること、聞こえていること、触れている感触なども含め、客観的事実をそのまま伝えること、また,見て,聞いて,そして自分自身が内側で感じている主観的事実をありのままに伝えることであり、クライアントの成長のため、結果のために行うものです。


8. 提案する


提案とは、相手に新しい視点を提供することです。

提案されると、相手はそれをやるかやらないかにかかわらず、まだまだやれることに気づかされます。

それが,提案のもつ力であり、コーチや上司に求められるスキルです。
ただ,大事なことは,それを受けるか受けないかは,相手が決める、ということです。

提案は,指示命令とは違います。
これをやらせるというのが目的ではなく,違う視点を与えること。

コーチや上司の提案は、立場の違いより、受け手によっては、指示・命令のように聞こえる場合があるので、

「あなたの問題解決の参考になるかもしれないから、話したいことがあるのですが、いいかな!?」と前置きをすることで、より相手の聞く姿勢を作ることもできます。

提案に関しては、それをするしないの選択権はあくまでも相手にゆだねます。


9. 承認のスキル


承認のスキル コーチに必要な10のスキル(技術) メンタルコーチ 名古屋 梅田智也

コーチングでは、相手を褒めたり、承認したりすることを「アクノレッジメント」といいます。

アクノレッジメントは,それをどういうスタンスに立って相手に伝えるかによって,大きく2つの種類に分かれます。

  • 「YOU」のスタンスで相手を承認するもの

「よくやった!」「やればできるじゃないか」「優秀だね」、つまり「あなたはこうだ」と相手に伝えることです。

もちろん,こういった承認を受ければ決して嫌な気はしません。
しかし一方でこのタイプの承認には,それ自体が評価ととらえられてしまう可能性があります。


  • 相手が自分に対してどういう影響を与えたのかを言葉にするもの(つまり「YOU」ではなく「I」の立場)

「きみががんばっているのをみていると僕もやる気が高まるよ」
「今日のきみのプレゼンは安心して見ていられたよ」

このタイプの承認は、相手としても、貢献できていると感じることができ、ストンと落ちることが多くあります。

言われることで、とても嬉しく感じたり、一層やる気になったりする承認の方法です。「信頼してるよ」「任せたよ」などもこのタイプです。


10. 視点を変える


『アソシエーション(結合体験)』と『ディソシエーション(分離体験)』を活用します。


  • アソシエーション(結合体験)とは・・・

アソシエーション(結合体験)とは、自分の五感を使って主観的に見ることを言います。

たとえば、何か困難にぶつかった時、自分の成功体験を思い出し、それをリアルに思い出すことができれば、その困難に向かって行動を起こし、それを乗り越える勇気を手に入れることができます。これがアソシエーションです。


  • アソシエーション(結合体験)の方法とは・・・

自分にとって,なにもかも忘れて楽しい、うれしいと感じられるとき、はどんな時でしょうか?
また,体や感情はどのような状態にあるでしょうか。ある行動を起こしているときに,心と身体が一体になり夢中になっている状態になることがあります。

アソシエーションとはそういった状態のことを言います。

アソシエーションしていると、思い描いているビジョンの中で自分が主体となっているので、行動に直接結びつきやすくなる。

そして,目標設定にこのアソシエーションを取り入れることができれば,より行動を起こしやすくなります。

・頭の中にイメージをもち、ビジュアル化する。
・見た感じ、景色、色、におい、感触、など具体的にイメージする。
・自分自身がその映像のなかに溶け込んでいくイメージを持つ。

質問としては、
「その場で何が聞こえますか?」
「そこに何が見えますか?」
「そこに誰が一緒にいますか?」
「その先にどんな風景が開けていますか?」等々。


  • ディソシエーション(分離体験)とは・・・

ディソシエーション(分離体験)とは、外から眺めるように客観的に見ることを言います。

何か問題にぶつかって,そのことを考えていても解決策が見あたらず,八方塞りな気もちになった時、その問題をちょっと離れたところからみることができれば、気もちに余裕が生まれ、新しい解決策を思いつくかもしれません。
これをディソシエーションと言います。


  • ディソシエーション(分離体験)の方法とは・・・

何かをしていて、ふとした瞬間、醒めてしまい、その状況を遠く離れたところから見てしまう経験はないでしょうか?
これが,心と行動(身体)が分離したディソシエーションの状態です。
出来事を客観的に見てしまい、そこに入り込むことができなくなっています。こういう場合は,行動は抑制され、ゆとりが生まれ、冷静な次への判断をすることができるようになります。



・自分を外から見るように質問をくりかえす

「それを見ているときの自分の気持ちは」
「どんな表情をしている」
「どんなことを聞いていて,どんなふうに感じている」
「10年後の自分から見たらどう見える」等々。


・点数化する

ふだん漠然と「やれていない,できていない」と思うことを「点数にしたら何点なんだろう」と問いかけてみると,行動を客観的に振返ることができ,ここまではできている,しかしここから先はできていないというのがはっきりと見えてきます。
これもディソシエーションの一種です。

たとえば,理想の状態を十点満点として,現在何点なのか,その不足分をクリアするのに,何をしたらいいのか。
点数化することは,進むべき道を目前に明確に提示してくれる可能性がある。少なくとも道の入り口くらいは見えるはずです。


上記が、コーチに必要な10のスキル(技術)です。

「上司として、部下をコーチしたい」
「チームリーダーとして、仲間をコーチしたい」
はたまた「親として子をコーチしたい」という場合、上記のスキルを1つずつ体得していくことで、より優れたコーチになっていくことができますので、是非ご活用頂ければ、幸いです。